国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長の是川夕氏は、経済協力開発会議(OECD)移民政策専門家会合メンバーとして2013年から継続的に会合に参加し、日本の外国人材(移民)受入れと日本やアジアの国際移住の分析、研究を進めてきた。その集大成ともいえるOECD報告書がまとまり、5月30日に東京都内でOECDと国立社会保障・人口問題研究所が共催したシンポジウムで公表された。報告書は日本語版「日本の移住労働者―OECD労働移民政策レビュー:日本―」(明石書店)として8月26日に出版された。
日本の技能実習制度について、米国務省の人身取引に関する年次報告書では「現代の奴隷制度」と厳しく表現され、日本のメディアや日弁連の一部がそこからの引用をベースに報道、主張してきたのに対し、同シンポジウムでOECD報告書の執筆にあたった一人であるジョナサン・シャロフ氏が「(技能実習制度は)改善の余地はあるが、『人身取引』という批判にはあたらない」と発言するとともに、外国人技能実習機構、監理団体といった重層的な管理監督体制は他の国に例を見ないものであり、こうした支援の仕組み自体は「育成就労」の導入後も「維持すべきだ」と評価していることだ。
米国務省報告書が米国流の価値観(個々の自由、自立、公平な機会など)をもとに強制労働と現代奴隷制という人身取引の対象を監視しそれを撲滅することを目的にしているのに対し、OECD報告書は労働移住が増加する中で労働移民政策とその特徴、労働移民政策と国内労働市場の現在及び予測されるニーズにどの程度対応するかを及ぼすかを分析・提言することを目的しており、その性格は異なっている。